上下階のかたさ(剛性率について)
極端に柔らかい階(層)の存在。
剛性率は各階で0.6以上を確保しましょうという目標値があります。
ある階(層)のかたさが全体平均の60%は保有していましょうねということです。
これが特定の階で剛性率0.3(全体平均の30%)としたらどうでしょう?。
この階に地震力による変形が集中して崩壊を招きやすくなります。
いわゆる「層崩壊」と呼ばれる現象で耐震設計では回避する崩壊形です。
また、耐震設計ルート3を行わない場合は0.6未満では確認申請で認められません。
実際の実例
鉄骨造を設定しましょう。下階がブレース構造で上階がラーメン構造の建物です。
この建物では上階のラーメン構造が地震力では揺れやすくなります。
剛性率0.6を確保しようとすると柱も梁も大きな部材断面が必要となるでしょう。
鉄筋コンクリート造で設定しますと、共同住宅の1階に見られるピロティ形式。
1階を駐車場として「有効に」使う計画は構造的には最も危険になります。
剛性率0.6確保は至難の業でしょう。
意匠設計者の中には、特定の階が柔らかいことが危険と実感していない方が少なくありません。
ピロティ層崩壊の恐ろしさを見たことが無い人も居そうです。
今はネットで検索すれば層崩壊の写真も閲覧が出来ます。
その写真を一緒に見ながら本当に採用して適切かを問い掛けてみましょう。
安全性確保はとても大切です。