構造設計(構造計算)と意匠設計とは何が違うの?
わたしは建築を学び始めてから社会人1年目までは、意匠設計の世界にいました。
その後に構造の世界へ軸足をピボットして20年余り経っています。いまでも、建築を見ることは好きなので、計算することより建築そのものが好きというタイプだと自己分析してます。
横道に逸れますが、意匠設計でも2つタイプがあるというのが私見です。
- 模型でデザインを確認する=模型派
- パースでデザインを確認する=パース派
模型が上手くてパースが上手いという人はほとんど見たことがありません。パース派は模型を避ける傾向で、模型派はパースを得意とはしてないように感じます。
ちなみに私は模型派でした。なのでパース派の設計者とは合わなかったのでしょう。
話をもとに戻して・・建築の設計で両方に脚を踏み入れた人間として。わたしから見た意匠と構造の設計の違いを書いてみましょう。
主だって3つあげます。
- お客さんが異なる
- 設計過程が異なる
- 設計期間が異なる
1)お客さんが異なる
意匠設計はエンドユーザーが相手です。なので、説明する時には専門用語を使わずに話しています。一般の方に説明するというのはカンタンではないです。
一方で、構造設計は意匠設計者が相手になります。「建築」という共通概念がありますので、専門用語を用いて会話が成立ちます。
建築という共通言語の有る無しは話し合う場で顕著に違いが出ます。
でも、構造業界だけの専門用語も存在するので構造だけの会話だと意匠設計の人は「??」となることが多いでしょうね。
2)設計過程が異なる
意匠設計は定性的な説明が出来ます。
「気持ちいい」とか「和らぐ」など。人の感性を主体にデザインを決めて行くことができます。また、ゼロからカタチづくるのが意匠設計ですね。
一方で構造は定量的です。アウトプットには必ず数量が紐づいてます。
ゼロからカタチを作らずに、意匠設計の形態から適切な構造計画をしていきます。そして、常に現存する材料を用いて設計を行います。
3)設計期間が異なる
意匠設計は建築の企画から竣工して、その後のメンテナンスまで見ます。
お施主さんへのアフターフォローも欠かせない仕事の1つでしょう。
期間としては基本設計~竣工まで全てに関わっていきます。小さい建築でも1年単位にはなるでしょう。
一方で構造は、基本設計から建物の竣工まで関わることは少ないです。
大きい建設会社ならば意匠設計と伴奏できますが小さい会社ならば構造の実施設計のみで関わりが外れていくのが多いでしょう。
以上は、私の主観に基づく見解です。建築で働く人によって変わってきます。
また、どれが正解とは決められません。(余談ですが〈正解〉を決めたがる人って居ますね。)
ただ、私自身は20年以上構造の世界に居て
「構造って、イイですよ。」
とだけは、声を大にして胸張って言えます。
『30代からは構造計算で年収UP』をキーワードに構造計算が『できない』を『できる!』へ、そして年収アップへと導く一級建築士・構造設計一級建築士です。こちらでもブログを書いています→ https://ameblo.jp/ryo3whisky