構造計算の学習法(3):実戦譜で学ぶ
1)プロ棋士とアマ棋士の違い
将棋の世界で言われてる言葉があります。
『プロは実戦譜で、アマは定石で学ぶ。』というものです。
プロ棋士は先輩棋士の対局の記録=棋譜を自分の盤上に列べて学ぶそうです。
一方でアマ棋士は、棒銀戦法/矢倉囲い等セオリー(定石)を集めるとのことです。
私も将棋が好きでしたので「なるほど」と頷けました。(私は下手の横好きレベル)
2)なぜ実戦譜なのか?
プロ棋士の公式な対局は全て記録されます。
それが棋譜となり後に残ります。
棋譜には1局(将棋の試合は局で数える。)で序盤~中盤~終盤と闘いの全てがあります。
ある棋士が全身全霊で向き合った全てが記録されてますから、最高の実例ですね。
一方で、棒銀戦法や矢倉囲いなどの戦術は部分的な駒の動かし方が示されてます。
囲いを終えてから「次は何?」が不明です。
パーツ(部分)だけの説明で終わります。
内容のすべてを学ぶには実例(実戦譜)に敵わない原因が、そこに有ると感じます。
3)内容の置き換え
最初からプロ棋士を目指す人は、実戦譜を自分の盤上に並べ考えるのでしょう。
『自分なら、次の1手は何を指すか。』
内容を所々で自分の考えたことに置き換え動かしてみて違いを確認してるでしょう。
構造計算を学んでいく上でも共通する点が有ると感じます。
似たような事例の計算書から、今回変わるところをマークします。
値を入れ替えて計算して違いを確認する。
何が異なるのかひと目でわかりますね。
今回は、将棋を事例に出しました。
それが囲碁であっても同じだと察します。
抽象化してみれば、過去の実例ほど実務に活かせる〈最高の教材〉だということ。
とくに、専門家の手による心血を注いだ記録ならば尚更ですね。
以前に展覧会で構造家の松井源吾先生手書きの計算書を拝見しました。
数少ないトップレベルの構造設計の一端を垣間見れた記憶に残る出来事でした。