RC造ルート1:壁量計算式(2)

今回は壁量の計算式
$Σ2.5・α・Aw+Σ0.7・α・Ac≧Z・Wi・Ai$
の中身について少し具体的にお伝えします。

1)Aw(壁断面積)の計算

壁断面積の算定は基本式として
壁厚:$t$× 壁長さ:$Lw$です。

$Lw$は柱の内法の長さを採用します。開口が存在するならば、

開口幅分の長さを差し引いて計算します。

計算方向に対して斜め方向に取り付く壁は
計算方向からの角度:$θ$について$cos$2乗した値を乗じます。

それと、柱に取り付く袖壁も壁量にカウント可能です。

袖壁長さ:$Lw$は45[cm]以上かつ開口高さ:$ho$の30%以上

であることが条件となります。

2)Ac(柱断面積)の計算

柱断面積の算定は基本式として
柱幅:$B$×柱成:$D$です。

柱の水平断面積は仕上げを含みません。
設計で算定したコンクリート断面の評価です。

耐震壁の側柱、耐震壁に組込まれてる柱も
$Ac$に算入出来ます。

1本の柱で断面形状が変化する時は最小断面
で断面積を算出します。

また、架構(柱梁)から外れた壁も厚さ10センチ以上

長さが100センチ以上有って壁の上下がスラブや小梁で

緊結されていれば$Ac$にカウントしてOKです。

3)$Σ2.5・α・Aw+Σ0.7・α・Ac$の意味合い。

壁量算出式の左辺については、壁の耐力が
いかに耐震性に寄与しているかを示してます。

壁のせん断強度が2.5(単位省略)に対し
柱は0.7と1/3以下の数値ですね。

RC造ルート1の計算では壁長さが適切に確保出来ることが

耐震性を高めてくれます。

以前に壁長さを少なくして柱断面積を多くし、
ルート1の壁量を満たした設計を平然と行う
構造設計事務所を目にしたことがあります。

工学的判断では適切でないと感じましたが、
その事務所は「計算してあるからOK」
(基準法にも則ってるとの主張)でした。

耐震設計ルート1と言えども使う技術者の
倫理観によって耐震性を低くしてしまう事が
あると思ってます。

3)の壁の少ないルート1に志賀敏男博士は
『私ならやらないね。』と答えたそうです。
下記はそのことをブログで紹介。
http://blog.livedoor.jp/mineot/archives/51957003.html

計算式だけに囚われすぎず、その計算式が作られた経緯までを

知ることが大切だと教えられた記事でした。