鉄骨造の規準書(5):鋼構造塑性設計指針
横補剛/座屈止めの計算
鋼構造塑性設計指針は、構造計算の初心者にとってはなじみが薄いでしょう。
それでも、1年くらい構造計算を経験すると手に取ることが有るでしょう。
手に取るタイミングは、大梁の横補剛部材計算あるいはH形鋼を柱(間柱)に用いた座屈止めの部材計算です。
大梁に作用する横補剛力の算出式や座屈止部材に作用する補剛力の記述があります。
部材耐力の計算
鋼構造塑性設計指針の「塑性」について。
塑性域とは1度変形したら元には戻らない状態の領域を指しますね。
許容応力度以下の範囲では、部材は変形しても元に戻ります。
この2つの状態での部材の強さは計算で算出できます。
しかし、状態が異なりますから、当然強さ(耐力)の値も異なります。
建物に極めて稀な地震(大地震)が起きた時には部材は塑性域で考えます。
部材の耐力は塑性設計指針に記載された耐力計算式にて算出します。
それが保有水平耐力計算につながります。
構造計算の初心者段階では、小梁や間柱の計算を行うことが多いので許容応力度計算だけで通用します。
それが建物全体の構造計算を行う初級者になりますと大梁の断面算定で横補剛が出てきます。
さらに中級~上級の耐震設計ルート3では
保有水平耐力計算ですから塑性域の知識が必要です。
木の幹となる鋼構造設計規準に加えて、
鋼構造塑性設計指針も手元に置きたい規準書ではありますね。