構造計算と建築士資格(2):1級建築士資格は必須?

構造模型

2級建築士で十分?

私の修行時代の話です。
『構造設計する人は2級建築士を持っていれば十分だ。』と言った人がいました。

確認申請に設計者として名前が載らない時代でした。

今では構造設計者が自ら設計者となる場合には
無資格は論外で、2級建築士ですら安心はできないでしょう。

1級建築士とて安心か?

それでは1級建築士を取得してしまえば、構造計算を実務で行う人にとって安泰になるのでしょうか。

じつは、耐震設計ルート1を超える規模の建物の構造計算では構造設計1級建築士の関与を確認申請で求められます。

自らが構造設計1級建築士(以下は構1と表記)でないと、他の人(構1)に法適合確認の依頼が必要です。
自社に構1所有者がいない時には、他社の構造設計1級建築士に法適合確認を依頼することになります。

法適合確認は構1所有者に責任が発生します。
それゆえに他社の設計での法適合確認を受けることには積極的にならない傾向があります。

建築設計では1級建築士を所有すれば、自ら設計する建物への規模に制限がなくなります。
しかし、構造計算においては規模に制約が発生します。

木造の建築以外で、ある程度の規模(平屋で3000平米超とか2階建て500平米以上)の建物を設計するならば
1級建築士だけでは安心と言いづらいところです。

1級建築士の汎用性の高さ

それでも1級建築士を所有すると「汎用性が高い」と感じました。

転職7回の経験者からすると、1級建築士を持つと職場の選択肢が広くなることに氣づきいたのです。

万が一、構造計算の実務から離れた(起こってほしくはないです)としても、働く先を選ぶことは出来ます。

設計事務所、建設会社、ハウスメーカーやマンションディベロッパー、建材会社にプラント会社、審査機関まで。

実に有資格者(建築士)の求人が有ります。
そこに構造計算を理解しているとなれば、更に有利になるでしょう。

建築士資格の所有と構造計算スキルをかけ合わせれば、現役で活躍できる期間が長くなります。
仕事をして社会に役立っていると自覚することは、とても大切なことです。