もしも、構造計算で◯◯がなかったら?。

何ごとも「あったらいいなぁ」と「なかったらいいなぁ」と
感じる(感じてしまう)ことはありますね。

ある/ないを突き詰めて考えても
答えが見つかるときと見つからないときがありますね。

では、構造計算の世界で
「もしも、◯◯がなかったら?。」と
仮定したら起きそうな状況をイメージすることをしてみましょう。
「構造計算を行う」という行為をベースとして想定してみますね。

いま、浮かんだのは3つです。
1.構造計算を行う目的がなかったら?
2.構造計算を行う条件がなかったら?。
3.構造計算を行う手法がなかったら?。  です。

あなたが上の3つが「無い」を仮定したらどういうアクションを取りますか?。
ここではお互いに、いったん間を取り考えてみましょうか。

1.「構造計算を行う目的がなかったら?」

構造計算を行う目的がないとなれば、構造計算は「ヒマつぶし」と
捉えられても致し方ないでしょうか?。

私は若い時分に「構造計算をしなくても立派に建ってる。」
と、心無い一言を受けたことがあります。

では、世の中に建つ建築物の安全性は、何を持って証明するのでしょうか?。
建った建物自体が実大実験なのですか?。
それは、とんでもない考えですよね。

一方で構造計算に慣れてきますと計算する目的を見失ってる方もいます。
構造計算を依頼を受けて、目をつむるようにスグに計算に取り掛かってしまう。

ひたすらに作業して、結果を返すと
「それならば、このように変わったら?。」
と、依頼者から違う計算ケースを求められ気づいてみれば、何回も手戻り、、、。
いつも夜遅くまでの仕事スタイルになってしまっている。

このように苦労されている方を今まで目にしてきました。

これらのことからも依頼してくる相手と
「この建物を構造計算する目的」については
きちんと話し合いをして記録しておくことが大事です。

依頼してくることを自分の解釈先行で行かずに、まずは事実の確認をしましょう。
手順を守れば、目的が外れることを防ぐことが出来ます。

2.「構造計算を行う条件がなかったら?」

構造計算するときには計算する条件がついていることが多いです。
この計算する条件が「なし」だとしますと、いったいどうなるのでしょうか。

・「荷重の条件がなし。」
どういう荷重を掛けたらよいのかわからないですよね。
たとえば、地震の強さも不明。
風の強さも無指定だと何を選択したらよいかわかりません。

・「計算する部材の材料に指定なし。」
ある梁は鉄骨で、ある梁はRCそして柱は木なんていう構造だと
困ってしまいますね。
(もし実物で作ったら、話のネタのひとつにはなるのでしょうけど、、)

・「部材のサイズも制限無し。」
これは、構造計算する者にとって気が楽になる要素なのかもしれません。
しかし、制限無しとは言っても実際に建てる建物では何らかの規制が出てきます。

このように、計算する条件が「なし」となりますと、構造計算での結果に
幅がありすぎて収斂致しません。

やはり、構造計算するまえに計算する条件を整えておく。
すなわち、依頼者と計算する条件を話し合って合意を形成して
おくことが大切なことなのですね。

3.「構造計算する手法がなかったら?」

いまは個性が重要視される時代ですね。
オリジナリティのあるメソッドなどをセールスポイントとして
強烈にセールスを掛けてくる商品は巷にたくさんあります。

では、構造計算の世界では
オリジナリティのある計算メソッドは存在するでしょうか。

いま行っている構造計算の手法を「オリジナリティがない。」と感じ
自分自身で唯一の計算法を探すとしましょう。

まずは、事実(起きている現象)に目を向けなくてはなりません。
力が部材に作用している。これを数式で表すには、どうしましょうか?。

構造力学のモールの定理やカスティリアーノの定理を使わないで
現象をどう数式化しましょう?。

もしも、自身で自然界の法則性から何かの数式を導き出せたとして、

その数式が安全に使えるレベルまで検証するには、どのくらいの時間が
かかってしまうのでしょうか?。(たぶん、膨大な時間がかかりそう。)

やはり、何百年まえから発見された法則などは利用したほうが
効率よく進められそうです。

構造計算の手法(型/フレーム)は我流にこだわってしまうよりも
誰もが出来る手法をまずは身につけた方が求める結果が早く得られると思いますよ。

以上、「もしも、◯◯がなかったら?。」
という仮定で構造計算のことを伝えてきました。

・計算する目的がなかったら?。
・計算する条件がなかったら?。
・計算する手法がなかったら?。

どれも、上手くいかないことが感じ取ってくださったでしょう。
それならば、上の3つが「ない」「ある」に変えたらどうでしょうか?。

計算する目的を計算する前にハッキリさせておく。
できれば、紙に記録しておく。
計算する目的が決まりましたね。

計算する条件について依頼者と話し合って合意をしておく。
これも、紙に記録しておく。
計算する条件が定まりました。

計算する手法について。
今までの先人が行ってきた計算手法を守ってシンプルに実践する。
計算する手法も手に入りました。

ほら!
「ない」が「ある」に変わったら、すべてが上手く行きそうです。

構造計算は簡単(シンプル)です。
決してイージー(安易)ではありません。

しかし、前もって準備しておくことを
簡単に整えておくだけで、正しく結果は出るものですよ。

計算する前に〈目的/条件/手法〉を整える。
この3つを意識しておきましょう。