RC造ルート1:壁量計算式(1)

1)壁量算出式

RC造ルート1のキモとなる壁量を算出する計算式は建築基準法で規定されています。
正確には平成19年国交省告示第593号で

$Σ2.5・α・Aw+Σ0.7・α・Ac≧Z・Wi・Ai$ となります。

Awは壁の水平断面積、Acは柱の水平断面積、
Zは地域係数、Wiはその階が支える全重量、
Aiはせん断耐力分布係数で$α$については後ほど説明します。

数式が出てくると脊髄反射的に受け付けない態度を取りそうになる人はいるでしょう。
そういう時には数式の〈意味合い〉を押えることから始めましょう。

上の数式の左辺で「$Σ2.5・α・Aw$」は壁強度
「$Σ0.7・α・Ac$」は柱強度、「$Z・Wi・Ai$」が各階の地震力です。

すなわち
『壁水平強度+柱水平強度≧各階の地震力』
としておくことなのです。

2)2.5と0.7の数値は?。

この2つの数値の単位は[N/mm2]で、カンの良い方ならピンときた人も居ますね。

これは、単位面積当たりの〈せん断強度〉を示しています。

元となるのは前回にご紹介した「志賀マップ」になります。

現在の単位に置き換えてますので、詳しくは
2020年版建築物の構造関係技術基準解説書P.382の図6.4-2に該当します。

上図に示す右肩上がりの曲線よりも右下側に
設計する建物の壁量がプロットできれば安全が確保できるということです。

3)では、$α$はナニ?

$α$はコンクリート強度による割増係数です。
設計基準強度:$Fc18[N]$が境になります。

$Fc18[N]$未満は割増なしで、$FC18[N]$以上で下式
$α=√(Fc/18)≦2$ となります。

上の式からすると上限となる設計基準強度は$Fc36[N]$になりますが、

実務上では$Fc24[N]$辺りで頭打ちでしょう。

理由は施工上で強度の高いコンクリートを幅の狭い壁型枠内に

充填していくのがカンタンでは無いからです。

それに強度が高いほどコストも上がります。

今回示した計算式 $Σ2.5・α・Aw+Σ0.7・α・Ac≧Z・Wi・Ai$は、

何度か手計算で行って自分の体で覚えて欲しいです。

このときに、最初からコンクリート割増係数
$α$を1.0で行っておくことがポイントです。
なぜなら、割増係数:$α$が余力となるからです。

左辺の式でその階の水平強度を算出して、
右辺でその階の地震力(=層せん断力)を
比較した時に左辺≧右辺ならαが余力になり、
左辺<右辺ならば$α$で補う可否が分ります。

壁量計算式を最初から計算プログラムに任せたくなる人もいらっしゃるでしょう。
そこをグッと我慢して、初心者の頃には是非とも手計算で壁量計算チェックを

行うことをオススメします。