梁の構造計算:支え方の違いで何が変わるの?

◆梁の支え方の違いについて。

梁の構造を考えるときにまず大切なのは〈支え方〉です。 

それで、支え方にも〈あり方(状態)〉〈やり方(手法)〉の2つを考えます。

梁の支える〈あり方〉は大きく分けて2つで

・片方だけの端を支える。
・両方の端を支える。

また、支える〈やり方〉も2つに分かれます。

掴み方を人の手に例えて表現しますと、
・5本の指でガッチリ掴む。

・2本の指でつまむ。

になります。

これを構造力学の言葉に置き換えますと

・5本の指でガッチリ掴む。 →「剛支持」

・2本の指でつまむ。 →「ピン支持」

という表現になります。

あり方とやり方を組み合わせると

・片方だけの端を支える。
→5本の指でガッチリ掴む。=「剛支持」でないと、構造として安定しません。

一方で
・両方の端を支える。
→5本の指でも2本の指でも支えることには変わりありません。

それでは、梁の両方の端を支えるやり方で何が違うのでしょう?。

◆支持方法で何が変わるの?

梁の支え方には剛支持とピン支持の2つのやり方があるとお伝えしました。
では、両方の端を支える梁で剛支持とピン支持で何が変わるのでしょうか?。

見るべきポイントは「応力」「変形」です。

まずは、曲げ応力について。「ピン支持は、剛支持の1.5~2.0倍」です。

ピン支持のほうが梁中央の曲げモーメントが大きくなります。

    (計算式の上段は「集中荷重加力」で、下段は「等分布荷重加力」です。)

それと、曲げ変形。「ピン支持は、剛支持の4~5倍」です。

ピン支持のほうが剛支持よりも変形します。

    (計算式の上段は「集中荷重加力」で、下段は「等分布荷重加力」です。)

この2つのことからピン支持の梁は、剛支持の梁よりも
断面が大きく必要になることが予想できますか?。

それに、一見するとピン支持は危険な支え方に映りそうですね。

しかし、使うべきところを間違えなければ大丈夫です。

スパンの短いところにはガッチリした剛支持よりも
カンタンに接続できるピン支持が向いています。

スパンを飛ばしたいところにはガッチリした剛支持のほうが
変形も応力も抑えられます。

適材適所で支え方を変えてあげることで
自由に部材断面をコントロール出来るのです。