構造計算で扱う材料の組み合わせについて

食べ物に「食べ合わせ」というのがあります。
例えば
・うなぎと梅干し
・スイカと天ぷら

ある食べ物と食べ物とを一緒に食してしまうと、

身体に良くないことが起きることの言い伝えですね。

食べ合わせのように良くないことではありませんが、

建築の構造材料にも材料同士の組み合せが有るのでしょうか?。

◆材料同士の組み合せ その1

鉄筋コンクリート(RC)造で考えてみます。
RCは鉄筋強度とコンクリート強度の
2つの材料強度が存在しますね。

鉄筋強度はSD295~390までが
一般の建築物で使われます。

コンクリート強度はFc21~60までが
一般の建築物で使われます。

この鉄筋強度とコンクリート強度の組み合せが
実務では大事になってきます。

例えば。SD295の鉄筋をFc60Nの主筋に
使ったりはしません。

反対に、Fc30Nのコンクリートを使って計算したならば

主筋の強度下限値はSD345で鉄筋径もD25が最小径
となっているのが慣例です。

先日も実務で目にしたのが
Fc21Nのコンクリートで計算していて
鉄筋強度がSD390(D29)の組み合せ。

こういうRC断面は一見すると見過ごしで
構造計算も許容応力度以下になっていたりすると
OKの判断をしがちになりますけど
組み合せとしては適切だとは感じません。

やはりSD390を使うのならば
Fc24~27Nを最小設計基準強度の目安としたいです。

上のことの理由としては
RC造の「梁のPt(引張鉄筋量)」を
算出する図表『梁曲げモーメント計算図表』を見て下さい。

梁曲げモーメント図表は、
「建築構造ポケットブック」やRC造計算例
などに載っています。

この図表で表される鉄筋強度とコンクリート設計基準強度で
外れてくる組み合せをあなたが選んでいたとしたならば
一度、材料強度の設定を見直したほうが
良いのかもしれませんよ。

◆材料同士の組み合せ その2

Jpeg

上段は材料同士の組み合せで
鉄筋コンクリート造についてお伝えしました。

今回は鉄骨造について考えたいと思います。

一般の建築物にて鉄骨造を選択した時
使っている鉄骨材料はSS材/SM材/SN材が主ですね。
強度も400N、490N級です。

鉄骨造では部材(柱、梁)ごとに材料強度を変えて使ったりします。

大梁を応力状態から断面算定をして
SM(SN)490材を採用したとします。

ラーメン構造の場合は大梁が柱へ剛接合されていきます。

大梁を受ける柱の材質を何にするのが適切なのでしょうか?。

柱断面が大きく出来るのであれば計算上はSN400N級で
許容応力度以下であればOKとはなります。

でも、、梁材よりも柱材の材料強度を下げて
採用しておくというのは何となくシックリこない感じがします。

また、、、大梁が取り付く柱梁接合部
(パネルゾーンという呼び方もします。)の
ダイヤフラムは大梁材料強度以上を確保しておくのが慣例です。

ということは、
柱の材料強度も必然的に大梁と同等の
強度を確保しておくのが良さそうです。
(全てのケースに当てはまりはしません。)

以上のことから実務の現場で使うのは
一般の建築物でラーメン構造の場合は

・梁材をSN400材と柱材をBCR295材

・梁材をSM(SN)490材ならば
 柱材をBCP325(BCR295の時もあり)と

しているのが実状ですね。

更に一歩踏み込んだ説明ですと
地震時のエネルギー吸収など難しめな話が
絡んできます。これは別の機会に譲りますね。

鉄骨造にも材料同士の組み合せがあるという
ことをあなたの頭の中に留め置いて下さい。