構造計算での計算感覚とチェック方法

◆計算感覚の磨き方

構造計算はシンプルです。
それゆえに計算する人のやり方次第で掛かる手間が多くなったり、

少なく出来たりといった面があります。

出来ることなら二度手間は避けたいですよね。

そこで、対象となる計算内容が長い計算式になってしまった時、、、。

どうしたら間違いが防げるのでしょうか?。

例えば
4.0[kN/m2]x(6.0+7.0+3.0)[m]x3[m]x1/2
といった具合の計算式。
あなたならどの様に計算しますか?。

最近は関数電卓も高性能/多機能(すべての機能を使い切れない)なので
左から順に入力して、カッコ付けしながら計算していくことは出来ます。

でも、、
ボタンの押し間違いの可能性はあります。

それでは、
例えば紙に式を書いて略算出来るところまでを
暗算にて計算式を簡素化してみるとどうでしょう?

押し間違いがグッと減ります。

それと、簡素化した計算式なら答えの値も予測が立てやすいので
電卓での押し間違いがあったときに
「あれっ?」っと、あなた自身で気づくチャンスが増えます。

こういうことを繰り返していくことで御自分の計算感覚が研ぎ澄まされていきます。

今日の明日に鋭くはなりません。
簡単な様ですけど、構造計算経験5年の人でもなかなか実行してないことです。

◆やりっ放しにしない。

構造計算は、シンプルです。ずっと、伝えて来ました。
シンプルがゆえに、時に間違いを起こしてしまいます。

防ぐには「セルフチェックを行うこと。」
って、上の方から言われた経験有りますか?。

それで、
「セルフチェックって、何したらいいの?」
と思ってたりしてませんか?。

私自身、セルフチェックが得意という事を胸を張って言いたいところですが、
・・・・・
そう言い切れないんですね。

そこで、構造計算でのセルフチェックとは具体的に
どの様な行動なのかをあなたと一緒に考えてみましょう。

例えば、表計算ソフトで計算すること多いなら入力した計算式が合っているのか
表計算シートをプリントアウトして、その内容を電卓で計算してみる。

また、もっとザックリと検算するなら
上2桁だけの数字で計算して
元の値の何倍か掴めれば検算したことになるとか、、、。

やり方は一つではないはずですよね。

大切なのは、計算しっ放しにせず自分で検算すること。

自分で計算したことから目を逸らさず
「必ず間違いがある」くらいの気持ちで確認して見ましょう。

◆計算チェック手法の一例

構造計算を行っていく中で慣れない段階ではセルフチェックを
どの様に行ったら良いか捉えきれません。

でも、、セルフチェックを行わずに上司や先輩からの
チェックを待っているようでは、いつまでたっても進歩が望めません。

では、どの様に行ったら良いでしょうか?。
一例を挙げてみます。

一貫計算プログラムで計算処理を行った後で
その建物の一部のエリアを抽出して応力計算などを検証する場合です。

この、一部のエリアを抽出することを
「ゾーニング」にて検討を行う。と構造計算の実務では呼んでいます。

ゾーニングの検討で各柱軸力や節点重量を
集計して地震力(層せん断力)を算出したとします。

そして、各ゾーンごとの地震力を集計してみましょう。
それから集計値と一貫計算出力の地震力とを比較してみて下さい。

集計値と一貫計算出力値に大きな開き(差)があったなら
御自分の計算でカウントしてない重量が無いでしょうか?。

一貫計算の地震力は、屋根/床/壁など建物全体から算出してます。

一方でゾーニングの検討では一貫計算の中から柱軸力や節点重量を抽出してます。
すなわち一貫計算の中の一部を切り取ってるようなものなのです。

部分を拾い集めて測った重さ<建物全体の重さ
なら、どこかに拾い忘れがありそうだ。
という仮説がたちませんか?。

このように全体と部分とを比べることでセルフチェックを行う方法があります。

これならば、多くの手間をかけずに計算違いを発見できることでしょう。