構造計算書は誰のため?
構造計算を行ってから構造計算書を作成しておくことは大切です。
前回は「なぜ必要なのか?」という切り口で構造計算書を考えてみました。
今回は対象を〈人〉にした切り口で構造計算書を考えてみましょう。
構造計算書を作るというとは一体、誰にとって必要となるのでしょうか?。
私の経験では、「3人の人に向けて」作る必要があるということです。
まずは、計算した本人のため
自分の構造計算の過程を記録しておくのは工事竣工時で問い合わせを受けた時に
速やかに答えられるようにする以外に
「後の自分の計算に活かす。」という側面があります。
同じような構造計算を行う時に
計算書としてのまとめ方=フォーマットとして利用することができるようになります。
そうなりますと作業効率アップが図れる結果になりますね。
今時分はエクセルシートで作られる方が
多いのは転用が効くメリットを享受している点もあります。
(実は作成する時間が膨大な割に、再利用が少ないシートも多いのですけど。)
次に「発注側の人のため」
発注側が構造計算書を保管してあれば
増改築などの要望に応じて建物の荷重を知ることが出来ます。
それで屋上に増設できる/出来ないが判別できたりします。
構造計算書が残されてないと〈現物からの推定〉でしか
計算ができませんので計算結果の精度に疑問がつくときがあります。
それから「建築主のため」
建築を依頼した人が所有する建物の安全性を知っておくために構造計算書があると良いですね。
自分のビル/住宅がどのくらいの地震に耐えられそうなのか。
台風が来た時に屋根や壁は大丈夫か。(基準法で規定がありますので)
建物に関わる気になることを構造計算書を見るだけでわかることがあります。
(ただし、専門家の解説が必要。)
以上のように、構造計算書は3人の人に向けて作る必要があるという視点で計算書作成に取り組んでみませんか。