風荷重の算出「地表面粗度区分が一つ違うだけで、、、」
構造計算で扱う外力のうちで風荷重があります。
正しくは、風圧力と呼びます。。
風圧力:Wは、建築基準法施行令第87条で次の計算式で求まります。
qは速度圧[N/㎡]で、Cfは風力係数です。
そして、速度圧:qは下記の式で求めます。
上2つの式をまとめると、
となります。
建設する土地によって基準風速:Voが定められており
この基準風速:Voに「地表面粗度区分」なるものを乗じて求めていきます。
今回は、この地表面粗度区分ということについて書きます。
「地表面粗度区分とは、何ぞや?」と思われましたなら
ズバリ、
「建物が建つ土地の建物の密集具合と
海沿いに近いか/建物の高さで決まる値」ということです。
市街地では、建物が密集してます。一方で、郊外では建物が少ない。
海沿いでは風が強そう(強い)ですが、内陸では海沿いほどでもない。
建物が高いと風圧力も大きくとりますが建物が低いなら、それほど大きくならない。
上記のことを建築基準法では4段階の地表面粗度区分で分けてます。
もっぱら使うのは地表面粗度区分〈Ⅱ〉と〈Ⅲ〉
(おおかたが地表面粗度区分Ⅲに該当してます)
そして風圧力は 〈Ⅱ〉 > 〈Ⅲ〉 の大小関係があります。
それを示すのが下記のグラフで
(出典:2015年版建築物の構造関係技術基準解説書)
建物高さ20[m]と仮定して風圧力の算出を試みたとします。
Eγの値が地表面粗度区分Ⅲで0.9、地表面粗度区分Ⅱが1.1と読み取れて
上の式より、Eγの比は(1.1×1.1)/(0.9×0.9)≒1.49 になります。
たった1つの区分の差ですけれども、風圧力は概ね1.5倍くらいの開きがあり、
風圧力が1.5倍違ってきますと外壁を留める下地材の部材サイズや配置間隔に影響して
それが建設コストへと影響します。
日本では、地震力に注目が集まり気味ですけど
風圧力も見過ごせない大きな力となります。
ここ近年は、台風等の強風による外壁の損傷被害が目立ちますので、
構造計算で風に対する検討も適切に行う必要があります。
『30代からは構造計算で年収UP』をキーワードに構造計算が『できない』を『できる!』へ、そして年収アップへと導く一級建築士・構造設計一級建築士です。こちらでもブログを書いています→ https://ameblo.jp/ryo3whisky