耐震設計法(4):鉄筋コンクリート造のルート2とは
1)今は2つで過去は3つ
鉄筋コンクリート造の耐震設計ルート2は現行法規では2つあります。
- ルート2-1
- ルート2-2
です。
ところが2015年の法改正前までは
- ルート2-1
- ルート2-2
- ルート2-3
とありました。
鉄筋コンクリート造だけルート2で3つも存在していたのですね。
共通してるのは
- 高さが31m以下であること。(実質的に10階建以下)
- 偏心率0.15以下
- 剛性率0.6以上
2)それぞれの規定
ルート2-1というのは、ルート1に近いものです。壁量を確保しておく。
壁が一定量確保できている建物は「堅く強い」建物です。
このような傾向を「強度指向型」と読んでいます。
ルート2-2というのは2-1よりも壁量の規定が下がります。
その代わり袖壁などの長さが等しくないと認められない点があります。
あえて言えば「準強度指向型」でしょうか。
ルート2-3は上の2つと異なり「しなり粘り強く」を目指します。
このような傾向は「靱性指向型」と言います。
せん断補強筋の量を確保するように規定があります。
3)なぜ3つ(2つ)もあるのか?
新耐震設計法の一つの目玉は「保有水平耐力計算」です。
この計算を行うには手計算では手間が多くかかってしまいます。
30年ほど前は、パソコンが高価でした。だから建築構造計算を行う技術者全てに計算プログラムが行き渡りづらかった。
そうなると、手計算レベルで保有水平耐力計算と同じ程度の安全性を担保する仕組みを設ける必要があったのです。それで作られたのがルート2でした。
現在の鉄筋コンクリート造の構造計算ではルート2を選択することは稀です。ですが、ルート2で終えられれば構造計算適合性判定制度を省略できる審査機関があります。
そうなりますと審査する期間が短く出来ます。工事着工がクリティカルな建物ではメリットが出てくるかもしれません。
ですから、ルート2が不要と思わず別角度から捉えた選択肢があると覚えておくと良いでしょう。
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