構造計算で使う「裏サイズ」とは何?
◆裏サイズとは何でしょうか?。
鉄骨のH形鋼について、
H形鋼には細幅系列、中幅系列、広幅系列と3つのシリーズがあります。
それで、各系列ごとに部材サイズが設定されています。
部材のサイズには標準サイズが定められています。
例えば、H-400x200x8x13という部材は標準サイズですね。
一方で〈裏サイズ〉と呼ばれる部材メンバーがあります。
上記の400mm丈のH形鋼細幅系列ならばH-396x199x7x11 という部材です。
(下の図の水色マーカーの鋼材)
どちらもH形鋼細幅系列の400mmの部類に入ってます。
なぜ、裏サイズと呼ばれるのか?。
これには、私も答えを持ち合わせていません。
構造業界に入って言い伝えで習ったからです。
でも、この裏サイズは今でも実務でよく使います。
SN鋼材では製作されておりませんけれどSS(SM)材では見かけます。
なぜなら、JISの鋼材規格に掲載されているから。
裏サイズが使用できなくなるには、
JIS規格の改定が行われない限りは使用は可能です。
その裏サイズを構造計算では、どの様に使うのでしょうか?
◆裏サイズを使って
裏サイズは標準サイズよりもちょっとだけ寸法が小さい部材になっています。
当然、部材1mあたりの重量も標準サイズより軽くなっています。
構造計算では、常にコストも意識して計算できると一目置かれます。
なので、
「標準サイズの裏サイズ」(H-400→H-396)は、手慣れた構造設計者ならばよく使います。
ですが、それだけではなく
「標準サイズの1サイズ上がった裏サイズ」
に着目すると面白い側面があります。
H-400x200x8x13を1サイズUPの裏サイズ
H-446x199x8x12に変えますと
断面二次モーメントと断面係数は上がります。
しかし、1mあたりの鋼材重量は
H-400x200x8x13で w=65.4[kg/m]
が
H-446x199x8x12で w=56.1[kg/m]
と軽くなっています。
断面性能がアップしたのに鋼材重量は減少しています。
これは、たわみへの配慮とコスト削減の一挙両得が出来ていることになります。
まだまだ、裏サイズはすぐには無くなりません。
使える場面では有効に使用していきましょう。