構造計算とOODAループ
◆OODAループって何?
OODAループという用語ご存知でしょうか?。
アルファベット4文字の読み方は「ウーダ」と読むそうです。
では、このウーダ(OODA)ループ
どんなことを意味しているのか?
元々は米国空軍パイロットのジョンボイド氏が
提唱した思考法、意思決定理論とのこと。
戦争の空中戦で、味方一機が敵機十機を撃墜した
と言われる方法が原点らしいです。
具体的には、、、
ある状況で変化が起こるとします。
それで、
「観察(Observe)」し
「方向付け(Orient)」することで
「センスメイキング(気づき、意味の形成による情勢判断)」を行い、
それに基づいて「決定(Decide)」して
「行動(Act)」するというループを廻していく。
ということが ウーダ(OODA)ループ。
これを構造計算の世界に置き換えると
どういうシーンで活用できそうでしょうか?
う~む、元軍人パイロットが考案したので
何となくスピードが要求される
シーンがマッチする気がしますね。
そうなりますと、
・現場質疑対応
や
・確認申請対応
などが当てはまりそうです。
質疑/指摘は、予想外のことが沢山有ります。
その予想外が起きた時に状況の変化を
観察/方向付け/決定/行動と
ノートに書いていけば正しく捉えていけそうな気がしました。
あなたも〈ウーダ(OODA)ループ〉について考えてみませんか?
◆木を見て森を見ず
構造計算の実務で使用するソフトに
「一貫計算プログラム」というものが有ります。
30年ほど前には
・荷重算出
・応力計算
・断面算定
など、各作業項目を人の手が主体で
行っていた計算を一つのプログラムへパッケージしたものです。
このソフトの功罪については私よりも年上の諸先輩方が
仰っておられたりします。
さて、この一貫計算プログラム(以下、一貫計算PGと書きます。)を
使っている時に陥りやすいこと、、
それは、、
「木を見て森を見ず」ということです。
例えば、各部材(柱/梁)の断面算定ばかりに気を取られすぎて、
ただただ部材断面サイズUPや強度UPばかりしてしまう。
建物全体を見渡せてないのですね。
こんな時には、、
「ウーダ(OODA)ループ」を使ってみましょうか?
まずは、観察(Observe)でしたね。
観察にフォーカスして建物全体を見てみましょう。
一貫計算PGの機能の中で計算モデルを立体的に見る
(例えば、アイソメ図のような)コマンドがありませんか?
ほとんどの一貫計算PGには付いているかと思います。
断面算定の迷路に迷ったら建物全体を見てみましょう。
◆全体を見たのなら、、、
「建物全体を見渡せてない」ことが計算結果が思うように
ならない原因の一つです。
では、建物全体を見たのならどうしたらいいのでしょうか?
今行っている構造計算モデルのなかで、、、
例えば
・どこか重たい荷重が載ってませんか?
・同じ高さの柱で極端に太い柱は?
・梁の長さで長短の差が大きいところは?
・吹き抜けは無いですか?
などなど、、、。
上のようなことが見つかれば
それは、建物全体の中でアンバランスになっているところ。
では、そのアンバランスを
解消するにはどうしたらいいのでしょうか?。
そうです。
今度は方向付け(Orient)に持っていきましょう。
梁の長短の差が大きいのに同じ梁成では長い梁はたわみ易い(柔らかい)です。
ならば、短い梁と堅さを同じにするには、、?
このような視点で
観察から得たことをノートへ書いてみて下さい。
◆そして仮定して、再び計算
構造計算では
「全体を見渡しましょう。」
「発見したことからどの方向にしていくか?。」
と書きました。
では、次に何をしたら良いのでしょうか?。
それは、、、「仮定する。」ということです。
”仮”でも”決めていく”のです。
決定(Decide)ということですね。
計算モデルのなかでアンバランスが見つかった。
それなら、「アンバランスを少しでも直すにはどうしたらいいのか?」
という視点を持って下さい。
一部が堅すぎる
→堅い所を柔らかくするのか/他の所を堅くするか。
堅さを変えるには
→断面サイズで変えるのか/部材の長さを変えられるのか
それとも部材の接合条件を変えるのか。
などなど、、、。
このように思い浮かんだことをノートへ記録して下さい。
そして、「再び計算」すなわち行動(Act)するんです。
大事なこと2つ。
1)仮定する前と後で何が変わったかを記録して下さい。
2)出来れば、仮定したケースを全て試してみて下さい。
そして、重要なのは〈一度に終わらせようとしない。〉ことです。
また、〈同時に2つの仮定で計算させない。〉こと。
同時2つでは、どちらが効果的なのかわからなくなります。
さぁ、いかがでしょうか?。
「ウーダ(OODA)ループ」を使った構造計算作業の例を
書いてみました。
一旦、構造計算のプロセスに入ったときには
観察→方向付け→決定→行動
で作業してみても効果があるかと思います。